SPACE ANTENNA SEVEN

フリーランスナレーター&DJ nanakoのブログです。

つむぎのラジオ見てきました~

シネマロサでつむぎのラジオを見てきましたー。

開演前はつむぎ役長谷川葉生さんのライブドローイング。

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「つむぎのラジオ」は7月29日の拙ラジオにゲストにお越しいただいた木場明義監督の初長編作品です。

ハリウッドとか、アニメ映画とかのカット数の多い起承転結と喜怒哀楽に見慣れてしまって、もちろんそれも良いですが。
人の一人ひとりの人生とか、人となりとかすごく掘り下げる事はメジャーシーンのテンポで振り切って煮こぼされて来たものがあるんだなぁ。

インディーズムービーの味わい深さが自分的に、いまさらでしょうが、ぐいぐいきてます。

高校生のときに中国映画にハマったときのような新鮮さを思い浮かべております。

 

つむぎのラジオも、普通ではちょっと見逃してしまう。
そこにあるはずなのに拾いきれない、本人も拾われることを望んでいないが故に、自分一人の思いだけでつっぱしってしまう精神疾患の苦しさや、切なさ、社会の中での寄る辺なさ。空回、焦燥感が非常に細かく描写されていたように感じます。

その、描き方が特別ドラマティックでわかりやすいわけではなく、淡々と「そこにある」訳なのです。
なんでそんなことするんだろう、と知らない人は思うだけかもしれない。

でもこうやって、「そこ」が描かれている作品が世の中にもうこうやってあるわけですから、是非拾ってほしい。いろんな方に見て欲しいし、そこで起こった笑いや悲しみや戸惑いや人によって違うと思いますが、それはなんなのかフォーカスしてみて欲しいなあと。思いました。


つむぎがこだわる過去の後悔、相手が忘れてても、どうでもよくても、自分が囚われて抜け出せないものに突き動かされてしまう気持ち、すごいわかります。

風呂入ってると「あああああああああああああああああ」とか絶叫したくなるアレのような。

それを脳内で流れるラジオがデフォルメして伝えてくれる訳ですが。(デフォルメではなく実際にある症状かもしれませんが)じわじわと切り刻まれる恐怖と逃げ場のなさ、それがハートフルなDJだからこその狂気がありました。

 

でもつむぎはバーに行けば仲間がいるし、常に心配してくれる家族がいるし、環境的には恵まれてるのかな、と思います。

ラストの「薬をちゃんと飲みましょう」は、精神科の薬を処方された事がある人へのすべての普遍的なメッセージで。

そう、そうなのよ!!笑、と力強く共感しました。
と、このシーンが差し込まれたことに強い安心感を抱き、なぜか私はここで泣きました。

全てを理解できるわけではないし、できることは本当にごくわずかでしかないんだけど、第三者の私だって別にあなたの敵な訳ではないんだよ!という思いが描かれているように感じたからでしょうか。

その時のつむぎの表情が、なぜがぐっときました。

 

いけてよかったなー。

ラストは舞台挨拶。

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「つむぎのラジオ」はギャグがお得意な木場監督の初シリアス長編だそうです。

ギャグ作品も見てみないと!

 

おまけ

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当日じゃないけど、家に帰る途中にたまたま木場監督に遭遇した時。

口前回の監督スマイル。口開けるの忘れてたー。油断したー。